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公益財団法人岡山県健康づくり財団


古くて新しい結核の話

古くて新しい結核の話

結核の疫学
かつて日本では、国民病と言われるほど結核が蔓延していました。戦後、結核の患者は激減しましたが、いまだに先進国の中では罹患率が高く、日本は結核の“中”蔓延国とされています。
では、現在はどのような方に多く発病しているのでしょうか。第一はお年寄りです。若いころに結核に感染すると、発病しなくても菌は体の中に潜んでいます。高齢になって体の抵抗力が弱くなった時に発病するケースがあります。この他にもホームレス、HIV感染者、糖尿病患者、ステロイドホルモンや抗がん剤を投与されているような免疫機能が低下した人も、発病の高リスクグループとされています。

 

◎感染と症状
患者の痰に混じった結核菌が空気中に浮遊し、それを吸い込むことによって感染します。これを空気感染といいます。感染しても多くの人が無症状で、10~15%程度の人だけが結核を発病します。ただし、発病しなくても菌は長く体の奥に潜んでいます。
結核は骨、腎臓などにも病気を起こしますが、ほとんどが肺に病変をつくります。肺結核を発病すると、咳、痰、微熱などの症状が出ます。

◎感染予防
結核を発病して、痰に多くの菌が出ている場合には、他の人に感染させる恐れがあります。その場合、2ヶ月程度隔離病棟への入院が必要になります。治療を受ければ、約2週間で他の人にうつす可能性は低くなる傾向にあります。
患者さんの家族や同僚など、感染のリスクが高いと考えられた人を対象に接触者検診が保健所の指導でおこなわれます。流行を防ぐため、結核の治療、検診はその一部、あるいは全額を国が補助する制度があります。

 

◎結核の治療
結核の治療では、6~9ヶ月の決められた期間に薬を内服することがとても大事です。途中で止めたりすると、耐性菌という薬が効かない菌が出てきて治療が難しくなります。岡山市では、保健所と協力して患者さんが薬を飲めているかどうかの確認をおこなっています。これをDOTS(ドッツ)と呼びます。
現在では決められた治療を受ければ90%以上の人が再発なく完治します。早い段階で発見し、きちんと治療すれば恐れる必要はありません。
もし長引く咳などがあれば、早めに医療機関を受診することを心がけてください。

※結核のご相談・診療についてはこちらまでお問い合わせください。

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